何で行ったか
結構転職で真剣に悩んでた。
ある本では、
「生活のための仕事だけでなく、社会貢献をしないと満たされない」
と書いていた。
確かに、そんな気がした。
早速ボランティアの募集を探し、見つけた。
色々あったけど知的障害者の方の施設の募集がピンと来た。
思い出したのは数日前、
バスの中で知的障害者の乗客に出会ったことだった。
彼はうなり声をあげたり、歌ったりしていた。
それを見て正直怖いと思ったし、
ふと、黙って座っている健常者の方がおかしいんじゃないかと思ったのだ。
みんな黙ってしかめっ面をして座っている。
狭い車内に大勢閉じ込められて、
自由に声をあげたり歌ったりしている障害者の方が、
もしかしたら神経がマトモかもしれない。
僕はそう思った。
どうだったか
ま~すんごかった。
バスの中にいる知的障害者を20人集めた感じ。
もちろん彼らの中には、おとなしい人もいる。
けど奇声を上げたり、大声、音を立てる人。
いろんな人がいた。
彼らも一切コミュニケーションが取れないわけではない。
職員とか僕がやったことを真似して一緒に行動したり、
頼んだことをやってくれたり。
あまり複雑なことはできなくても、
何らかの理性を感じることができた。
あとちょっとびっくりしたのは、
見た目があまり健常者と変わらない人もいるということだ。
逆に言えば、
スタッフが障害者の方に混じっていたらわからないこともある。
多分僕だってそうだ。
終わって思うこと
施設を出たとき、正直ほっとした。
割と神経質な方だし、大きな音は苦手だ。
でもものすごい体験をしたと思う。
そして人間。知的障害者の方々。
境界を誰かが決めただけで、
グラデーションみたいに我々は存在しているのだ。
交差点まで戻ってきて、世界が新鮮に思えた。
そこを行きかう人たちはみんな健常者だった。
世界はどうやら健常者に満ちているらしい。
それはすごく安心するような、不安になるような感覚だった。