ニートと彼女とメンタル

Youtubeで幸せになる方法というタイトルの動画があった。
頭にちらついたのは「幸せとか考えているやつはバカ」というタイトルのひろゆきの動画。
確かに幸せについて考えるのは難しい。
そんなこと考えている暇があったら金を稼ぐなり筋トレするなりした方がいい。

 

でもその日僕はその動画を見た。
最初に幸せの効用について考えていた。
人は幸せになると仕事がうまくいき、人間関係もよくなり、収入も上がるらしい。
なんてすばらしい。幸せであることは人生に対するものすごいバフらしい。

 

と思う人がどれくらいいるだろう。
これはかなり詭弁だ。
幸せだから仕事がうまくいき、人間関係がよくなり、収入も上がっているわけじゃない。
多分逆、というか、仕事がうまくいって人間関係がよくて収入が高い人が自分を不幸だとは思うまい。

 

もちろん傍から見ればそう見えている人が不幸である可能性はある。
しかし不幸だと答える人が上の三つに肯定的な意見を言うとは思えない。

そこまで考えたうえで、まあいいだろう、と僕は思った。
幸せになる方法があるというなら、なってやろうじゃない。
そう思って動画の続きを見た。

 

 

似たようなことを僕は考えたことがある。
大学生の時だ。
就活が上手くいくやつは大体彼女がいた。
彼女がいるから就活が上手くいくのか。
就活が上手くいくような素晴らしいやつだからこそ彼女がいるのか。

 

多分その二つを完全に切り分けることはできない。
彼女がいる理由に関連するパラメータが大量にある。
就活が上手くいく理由に関連するパラメータも大量にある。
その二つの集合がとても似通っているのだろう。

 

けど一見彼女がいるから就活が上手くいく。
という論理にもぱっと見合理性がありそうに見えるのが面白いポイントだ。
そして僕は就活はヘタクソだったし、彼女もいなかった。

 

3

 

彼女がいないけど大手の内定をバンバン取っていた奴がいた。
K君だ。
K君はかなりパワータイプだった。
独創的なタイプでテンションが高く、でも勉強熱心でスポーツもできた。
いや、彼女がいたのだろうか?
どう見てもモテなさそうだった。
多分自慢話が多かったからだろう。それ以外はステータスも高かったし、イケメンだった。
あいつはいま幸せだろうか?

 

そいつとのくだらないエピソードがある。
一緒に銭湯に行った時だ。
俺はケツ毛が濃いんだという話をした。(何?)
それに対して彼も「俺もケツ毛濃いよ」と対抗してきた。

 

マジで何の話だ?
彼は優秀な成績で大学を出たし、
僕は本当にギリギリの成績で大学を出た。

たまにどんな話にも対抗心を燃やしてくる人っているよな。
虚言癖でプライドが高く、そして傷つきやすいのだろう。
彼のケツ毛が本当に濃かったのかどうか若干気になる。

関係ないけど僕は数か月前にケツ毛 そり方 で調べて体毛用のシェーバーを買った。

 

4

 

時代は下る。
僕は何とか会社に滑り込んだ。
新卒で入った会社には3年半勤めた。

 

その間一度も彼女はできなかった。
同期のことが好きで、その子は結婚した。
一緒にカラオケに行ったときにプロポーズまがいのLINEが来て、
ヤバTのハッピーウェディング前ソングを入れたりした。
もう一曲入れた。
エルレガーデンのmarry meだ。

 

その曲の歌詞は大体こんな意味だ。
「俺がもし来世で金持ちになれたら結婚してくれるか?
俺がもしイケメンになれたら、背が高くなれたら…」
英語詩だし多分内容は伝わってない。
あまりにメンヘラみたいな歌詞だ。
ヤケクソではあったが、僕はちゃんと恨みがましくその曲を歌った。

 

5

 

守るべきもののない人間は弱い。
ゼミの同期に野村で内定をもらったやつがいた。
そいつは覚悟を決めた顔をしていた。
「公務員じゃ彼女を養えない」
真剣な顔付きでそいつは言っていた。
あまりにもカッコよかった。

 

その時僕は卒業までの単位を残り100くらい残していたし、
3年生だった。

結局絶望的、何年留年してもおかしくなかった所から最短で卒業にこぎつけたし、
別に彼女なんていなくても、守るべきものなんてなくても何とかなるのかもしれない。
わからない。しかしそれは孤独な戦いである。

 

6

 

やっと本編というか、言いたいことの中心に近づいてきた。
僕はずっと、彼女がいれば人生上手くいくと思ってきた。
しかし、人生の上手く行ってないやつは彼女が作れない。

 

恋愛の自由競争はあまりにも過酷だ。


youtu.be

 

https://www.netflix.com/jp/title/81436209?source=35


特に韓国では熾烈だ。
色々理由が言われているけど、まあ結果として、
韓国では美容とか整形とかの水準がものすごく高く、
日本以上にスタートラインに立つハードルが高いようだ。

 

その韓国が恋愛をテーマにリアリティドラマを収録しているのは業が深い。
こういった自由競争に巻き込まれ、勝利を狙うのは非常に難しい。
というか苦しい。
自由であるが苦しい、その表現をベーシックインカムチャンネルではよく使う。
これは非常に身に染みる。

 

仕事に関していうのがわかりやすいかもしれない。
転職が自由にできる。
だが会社は長期的な視野で育成してくれない。
だから従業員一人一人が育たない。
そういう、自由だが窒息しそうな苦しさのある社会なのだ。

 

競争から一歩離れること。
それが重要だ。
学生の時に彼女がいて、就職しても関係を続けている人。
これが一番理想的だ。
マッチングアプリなり、結婚相談所なり。
そういう所で競争にもまれ彼女を作るのは難しい。
あるいは、もし出来たとしてもまた彼女があなたを捨てるかもしれない。
より良い男を求めて。
彼女はまだ競争を勝ち抜けると思っているかもしれない。

 

僕は男子校に6年いて、浪人もした。
女性慣れしていない状態で文系の大学に入った。
学科は男女比で選んだ。
文系の大学に行ったら自分も陽キャになれると思っていた。
そしたら文系の陰キャが出来た。
この話は何度かしているかもしれない。

 

7

 

まあでも早めに厳しい海に乗り出すのは正解だったかもしれない。
この世界は陽キャが回しているのだ。
陽キャが自由恋愛を謳歌し、
そして子供を作り、陽キャは再生産される。
陰キャ陰キャで独自の喜びを見出し、
それはそれで幸せな生活を送るかもしれない。

 

しかし遺伝子の作用は偉大だ。
おそらく一生、自分が子孫を残せないことへの後悔は付いて回る。
結婚は契約であり、縛りであり、集団の為の自己犠牲ではある。
しかしその結果得られる子育ては、確実に幸せをもたらすだろう。
その不自由さに辟易し、子育てを放棄し離婚するものもいるかもしれない。
幸せ、豊かさと自由、正しさは相反するのだ。
そして我々はあまりにも自由を偏重した社会に生きている。
最悪なことに、これまでそうした風潮は激化してきたし、
これからも激化する。

 

村上春樹の小説にこんなフレーズがある。
「墜落しつつある飛行機が、
色んな荷物を放り出し、最終的には憐れなスチュワーデスを放り出すように…」
資本主義社会はまさにこんな様相だ。
生きていく上で必要なものを全て商品化し、
最終的には自分の存続に必要な愛とか子育てとかすら商品にし、
食いつくす。
我々を迎えるのはそんな時代だ。

 

若いやつらを妬ましく思う。
だが、彼らの生きる世界は、
僕がその年齢だった時よりも確実に生きにくくなっているだろう。
できればこんな社会は早めに爆発四散してしまえばいいと思う。
少なくとも僕は苦しいし、早くラクになりたいと願っている。

 

8

 

僕は去年の夏ごろに彼女がいた。
すぐに別れてしまった。
その辺の話はいずれするかもしれないし、
しないかもしれない。
少なくとも、10月にフラれて失意のどん底にいた。
その前に彼女がいたのはおそらく6年か7年ほど前だ。

 

その7年前の彼女と最後にセックスした時、
家で艦これのエロ漫画でシコっていた方がマシだなと思った。
家が恋しかった。

 

面倒だったのだ。
ご飯を食べているときに、
彼女はなんでセックスしたいの?と聞いてきた。
僕は適当な答えをした。
気持ちよくなりたいから?
そう思っていたけど、実際には違ったのかもしれない。
女の子とセックスすることで、
何らかの救いがあるんじゃないかと思っていたのだ。


今ならわかる。
僕も仕方なかったのだ。
他に方法を思いつかなかったし、
セックスは気持ちいいし(多分)、
効果的な救済だと思えたのだ。

 

9


まあ少なくとも去年の秋ごろ、
僕はひっさびさにできた彼女に振られていた。
どの程度僕は真剣だっただろうか。
どれくらい結婚するつもりだっただろうか。
今となってはわからない。
まあ少なくとも、僕は絶望的な気分だった。
その時ちょうど資本論を読んでいて、
働くことに絶望を覚えていて、
彼女にフラれた僕は何重にも生きる意欲を失っていた。

 

みんななんで生きているんだろう?
いや、生きることは惰性だ。
なぜ、頑張れるのだろう?
働くことも学ぶことも、遊ぶことも。
すべてとても厄介で面倒なことに思える。
おそらく、学生の頃からずっと走り続けている人が多い。
頑張ることは習慣化するのが一番いい。
だが一度、立ち止まってしまった人間にとって、
また走り出すというのはあまりにも億劫だ。

 

そして頑張らないというのはあまりにも至高なのだ。
ぬるま湯につかる感覚。
汗水たらして努力している人間をバカにし、
そして妬ましく思う。
どうして君たちはそんなに頑張れるんだ?
何が君たちを突き動かすのか。
自分には想像もつかない。
僕には何もない。
彼女もいない。
やりたいことだって、あまりない。

 

10

 

僕は明日から働くことになっている。
月曜日だ。
月曜日なのがあまりにも憂鬱だ。
僕は毎年仕事をやめて毎年社会復帰していたが、
月曜から復帰するのは久しぶりだ。
新卒ですら水曜くらいから始まった気がする。
1/7の不幸を引いてしまった。
逆に最初の一週間さえ耐えれば何とかなる気もする。

 

僕の生活習慣は終わってる。
昼でも夜でもいつでも眠くなるし、
夜中は眠れない。

 

きっと会社で寝るだろう。
最初の一週間は目をつむっていてほしい。
だが僕は耐えられるだろうか。
会社で寝ている人ってあんまいないよね。
寝るような人間は耐えられずに辞めていくのか。
彼らはなぜ、寝ずに働けるのだろうか。
デスクワークは恐ろしい。
あんなもの寝ろと言っているようなものだ。

 

こんなブログをここまで読んだ人は、

きっと僕の事が好きだと思う。

少なくとも読み進めるうちに好きになったはずだ。

こんな僕の社会復帰を、ぜひ全力で応援してほしい。

できれば目に見える形で。