ラーメン屋と大企業

 



 

多分これを読んでる人のほとんどは仕事が嫌なんじゃないか。

 

その理由の一つが、あなたの会社がでかすぎることだと僕は思う。

 

そもそも会社というのはよくわからないものである。

自分のチームが5人~10人とかで何かのプロジェクトをやっている。

そのプロジェクトで何が行われているのかはわかる。

 

仮に、あなたがAという製品を作るプロジェクトに参加しているとしよう。

 

Aを使っているユーザー、①がいるとする。

①は、あなた達の作ったAを使って、さらに②に製品を売っている。

②は製品Cを作っている会社である。

Cは③が④に製品Dを売るための管理システムである。

 

みたいな感じで、色んな登場人物が製品を通じてつながっている。

 

よくわからん。

そして、こういう複雑怪奇な人物のつながりをまとめたものが、

あなたの会社である。

 

今まではこっちのプロジェクトで①を相手にしていたとする。

こっちが炎上しているから別の製品OMEGAを作ってほしい。

そしてまたいろんな登場人物が後ろに控えている、

全く関係ない製品OMEGAを作る羽目になる。

 

そんなことしていたらまあやる気起きない。

あまりにもでかい構造の中の、

とても小さい部分になってしまったら、

まあ無気力になる。

 

 

僕はこの話を考えているときに、

チャップリンの映画「モダン・タイムス」を思い出した。

 

内容は覚えてない。確か歴史の授業で聞いた。

今まで農村で働いていた主人公が、

近代化した世界で工場で働き始めて、

人間が機械の一部みたいになってるよって皮肉をしたらしい。

 

もしかしたらチャップリンが感じていたのは、

でかい組織、でかい社会の中での己の小ささ、

無力感だったのかもしれない。

 

 

今までは畑を耕して、食料を作ってた。

食料を売ると、お金が入る。

そのお金で生活する。

それはすごくシンプルだ。

なにより、想像しやすい。

 

僕はラーメン屋で働いていたことがある。

 

ラーメン屋はすごくわかりやすい。

朝に麺が運ばれてくる。

製麺所のお兄さんが運んできてくれる。

 

お昼には豚肉が届く。

これもお兄さんだ。

それを店でゆでてラーメンに乗せる。

 

バイト中はひたすら店長が横で麺をゆでている。

湯切りをしている店長はマジでかっこよかった。

ラミレスみたいな見た目してた。

いかつくて、コワモテだった。

 

お客さんはいろんな人が来る。

オフィス街だったから、大体おじさんだった。

 

おじさんは色々いる。

だが、ラーメン屋の店員からしたら、

どのおじさんも一緒だ。

 

彼らはもしかしたら大企業のお偉いさんかもしれない。

中小企業の窓際族かもしれない。

 

けど店員からしたら、彼らは等しくおじさんだ。

高くても1000円。

電子マネーに対応してないから、

彼らはみんな財布をだし、食券を買って、

ラーメンを食べて、帰っていく。

 

 

ラーメン屋はすごくシンプルだ。

目の前でパーツが揃い、

組み立て、目の前のお客さんに出す。

そうするとうめえうめえって言ってくれる。

そして大体、満足して帰っていく。

 

すごくシンプルで分かりやすかった。

僕は複雑なことを理解するのは苦手だし、

きっと多くの人もそんなに得意じゃないと思う。

 

その分かりやすさはやる気の源だった。

体力的にはしんどいけど、

バイトを休んだことはほとんどなかった。

 

 

結局何が言いたかったのか。

 

自分の戦っているものは、

理解の追い付かないほど複雑なものであり、

理解できないゆえにやる気が出ない。

 

そう認識するだけで気分が少しラクになるかもしれない。

 

そういうことだ。